2008年12月7日日曜日

鶴岡の超モダン-山形県鶴岡市④

鶴岡の城址公園や旧庄内藩校「致道館」等の歴史的建造物が集中する一角に、これらと対照的な総ガラス張りのモダンな建物が目を引きます。画像の建物には、「東北公益文化大学大学院」と「慶應義塾大学先端生命科学研究所」があるのですが、なんだかハイブロー過ぎて、気軽に入ってゆくという雰囲気ではありません。でも、このキャンパス内に学生食堂らしからぬ小綺麗なレストランがあって、地元の市民も結構出入りしています。

東北公益文化大学(4年制)はお隣の酒田市にあって、以前「土門拳写真美術館」に行った時、近くに変わった名前の大学があることに気が付きました。鶴岡にはその大学院を置いて、庄内の二つの街で役割分担しているようです。学校法人の役員や評議員には、山形県や庄内の自治体の首長・商工会議所の代表者などが名を連ね、「公益」をメインテーマとした非常にユニークな大学です。

この学府が目指す「公益」とは、建学の趣旨書から抜粋すると次のようなことです。
『20世紀は<モノ・オカネ>本位の資本と市場原理の時代であった。・・・ 21世紀は<ヒト・ココロ>本位の時代である。<世のため人のため>の非営利の考えや活動、制度やシステムが大きな位置と役割を占めることになる。そのときこそ、子供が子供らしく、人間が人間らしく生きることのできる公益の時代である。そこに至って初めて資本と市場の原理、そして中央や大都市本位の論理が、新しい公益原理によって検証され、公益と調和のとれる在り方を模索するようになる。』
大学のホームページ<http://www.koeki-u.ac.jp/ > にカリキュラムが掲載されていますので、関心のある方はご覧下さい。

東北の一地方から、このような考え方に立って、新たな学問と実践の府が興されたこと自体、超モダンなことだと思います。農政、環境学から情報処理学までを幅広く学びながら、社会現場で実践することを重視しているそうです。現にここの学生達は、庄内の新たなまちづくりに向けて、さまざまな実験的事業を立ち上げています。

藤沢周平が描いた江戸時代から戊辰戦争を経て今に至る庄内の歴史や山・海・平野に恵まれた自然環境、その自然と賢く折り合いをつけてきた人々の暮らしぶり、などをジックリ見るには、最低1週間の滞在は必要です。鶴岡には、地元NPOが経営する「皓鶴亭」(こうかくてい)という格安の長期滞在施設(http://www.tsurutrust.org/ ) がありますから、ご参考までに。
 

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