2008年12月7日日曜日

街のど真ん中に県境線-山形県鶴岡市鼠ヶ関

新潟から山形県庄内に向かって海岸線を走ると、山形県西端の鼠ヶ関(ねずがせき)に至ります。ここは、越後と出羽の国境の関所があったところで、奥州3古関(勿来の関、白河の関、鼠ヶ関)のひとつとして有名なところです。今は小さな漁港のまちですが、マリーナが整備されているので、国際大会なども開かれるそうです。
 
マリーナのある海浜公園には、源義経上陸の碑が建っています。越後から奥州平泉への逃避行の途中、山道の難所を避けるため、愛馬と別れを告げ、船でこの鼠ヶ関に上陸したと「義経記」にあるそうですが、史実かどうかははっきりしません。でも、ありえない話ではないですね。
  
鼠ヶ関の街中に、遺構が発掘された古代の関所跡があって(江戸時代以降の近世関所跡は国道沿いにあります)、ここを境に、街は新潟県と山形県に2分されています。通常県境は、川や山の稜線、あるいは人気の少ないところで線引きされているものですが、こちらのようにひとつの街が突如県境線で2分されているところも珍しい。往時の国境に忠実に県境を定めたので、こういうことになったんでしょうかね?
 
実際に住んでいる人にとって、何か不便な面がないのか気になるところですが、校区や行政的手続きはルールどおりやるだけで、日常生活は、”通行手形”が必要なわけでもなく、ごく自然体で営まれているようです。閑をもてあましていたガソリンスタンドの親父さんの話では、『そんなことより、新潟も庄内も米どころと言われてるけど、稲作農家は大変だよ。農機具などの借金を返すために、農閑期に出稼ぎに行って、その間田んぼの手入れが疎かになると、途端に米が不味くなるからね。悪循環だよ。』-地方の厳しい現実です。

 

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